環太平洋大学学長/中央教育審議会副会長・教育課程部会長 梶田叡一先生の講演に次のような所があります。(筆者一部抜粋及び加筆) |
今までは、「子どものいいところだけ見ていきましょう」なんてことを言っていましたが、これからはいいところも悪いところも見ていかなければならない。ただし、子どもの中には①自信のない子や②すぐに落ち込んでしまう弱さをはらんでいる子がいます。そういう子には、いくら悪いところが見えていても、できるだけいいところしか言っちゃいけないんです。ただし、そういう場合でも、いいことばかりでは独善的になりますから、ときには「これはまずいよ」ということを言うべきです。しかし、③自信満々の子がいますし、④何を言われても落ち込まないような強靱さを持った子もいます。そういう子は、厳しいことを言わないと伸びない。ほめていたらダメになるんです。
そういう母性原理・父性原理について、教育心理学の河合隼雄先生は、
○母性原理は「包合する」機能・・それはすべてのものを良きにつけ悪しきにつけ包みこみ、そこでは全てのものが絶対的な平等性をもつ。
○父性原理は「切断する」機能・・主体と客体、善と悪、上と下など、子供を能力や個性に応じて分類する。
と定義し、極端に言えば、母性が「わが子はすべてよい子」という標語によって、すべての子供を育てようとするのに対して、父性は「よい子だけがわが子」という規範によって、子供を鍛えようとするのである。と説明しています。
この2つの考え方は、私の教育の原点です。そして、どちらも必要であるけれども、どちらにより重きを置くかは子供の発達段階で考えるべきであり、それを見極めるのは本当に難しいと感じる毎日です。そこで、普段は肯定的評価(よいところ見つけ)をします。①②の児童はじめ、③④の児童も褒めます。それは、自分のいいところを知り、自分を好きになってほしいとの願いからです。これは、母性原理にあたります。母性とは、女性と言うことではなく、子供のすべてを受け入れる人と言う意味です。
一方、「せっかくここまでできるようになったのだから」と、より高い目標を持ち自己新記録に挑戦させています。マラソン・絵・習字など得意な児童をうんと褒めます。もっと競争を取り入れてもいいかなとも考えます。これは、父性原理でしょう。できるまでやる、あきらめない強さを育てたいのです。
本校の先生方は、この2つを本当にうまく使い分けているなと思います。時には、アイコンタクトもしながら複数で指導の役割分担をすることもあります。もちろん、家庭でもそうされていることでしょう。
たくさんの人に導かれ、認め励まされ、神野っ子は伸びています。
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